日本野鳥の会の活動理念に「人と鳥が共に生きる」があります。これは人と犬や猫のようにペットとして共に暮らしていくことではありません。

野生生物である野鳥と人が、仲良く付き合うための方法をいくつか紹介します。

ヒナを拾わないで

かわいいヒナが足下で鳴いていたら・・・・あなたはどうします?

A.ヒナが危ない目に合わないよう保護する  B.その場を離れてそっと見守る

思わず保護したいと思うあなた、きっと優しい気持ちの持ち主なのでしょう。でも、殆どの場合、親鳥が近くで見守っています。人がいると親鳥は近づけません。そっとその場を離れてください。野鳥は親鳥と過ごし、自然の中で飛び方、餌の採り方、危険への対処などを学び、生き抜く行く力を身につけます。日本野鳥の会では20年以上「ヒナを拾わないで」キャンペーンを続けています。みなさまのご協力、ご理解をお願いします。

日本野鳥の会「野鳥の子育て応援キャンペーン」サイト

野鳥観察・撮影のマナー

「野鳥を近くで観察したい」、「美しい野鳥の写真を撮影したい」、これは野鳥が好きな人ならば誰もが思う気持ちでしょう。心安らぐ大切な時間です。そんなとき、観察や撮影のマナーに心がけましょう。公園や散策コース、観察棟、展望台などの多くは公共の場所です。公共の場のマナーは、お互いを尊重し、譲り合いの気持ちが大切です。(鳥と人にやさしい観察・撮影)

個人の所有している場所(水田や農道、山、建物など)では、事前に承認を得るなど、特に配慮が必要です。巣の前に長時間居座ることで、親鳥が警戒して給餌に来なくなり、巣が放棄されてしまった例、狭い農道(農作業用の道)に停車し、農作業を妨害する結果となり、苦情がでる例などがあります。鳥にも、人にも、迷惑をかける観察や写真撮影はNGです。

野鳥撮影マナーブック キヤノン・日本野鳥の会(PDF)

鳥インフルエンザウィルス対策

野鳥に限らず野生生物は、病気や寄生虫などの厳しい自然界の危険に晒されて生きています。病原菌の媒介の危険が予測される場合は、観察から戻ったら靴底を洗うなど、野鳥を愛するみなさんが率先して行っていきましょう。

人と鳥とともに

以前は多くのツグミたちが食用のため密猟されていました。また、愛好家によるメジロやオオルリ、ウグイスなどの鳴き鳥の密猟、オオタカのヒナの密猟などがありました。多くの人々の献身的な努力で法整備がされ減少していますが、まだ一部に続いているところがあります。

厳しい自然下で生きている野生の鳥を、人が飼育しているものと同様に考えることはできないことを伝えていきましょう。トキやライチョウのような保護の取組、鳥獣保護区の指定、ラムサール条約の登録、日本野鳥の会が取り組んでいるサンクチュアリ(鳥の聖域)の設定など、鳥類の保護についてはさまざまな対応や方法、考え方があり、多くの取組が行われています。