新潟県は総面積125万8424k㎡で全国で5番目の広さがあり、県が指定する鳥獣保護区は92カ所あります。トキやライチョウの保護の取組、鳥獣保護区の指定、ラムサール条約の登録、日本野鳥の会が取り組んでいるサンクチュアリ(鳥の聖域)の設定など、さまざまな方法や対応があり、多くの取り組みが行われています。
生息地の保護
保護のためには、鳥の生活(生態)を知ることが大切です。鳥にとって大切な場所(営巣地・採食場所・ねぐら・移動や渡りのコース)や時期(シーズンや時間帯)を調査し理解する必要があります。鳥の保護と調査・研究は表裏一体といえます。
繁殖地・生息地・越冬地
粟島のオオミズナギドリ繁殖地は天然記念物として、福島潟・鳥屋野潟・朝日池など潟湖、弥彦山・米山・浅草岳・妙高山などの山々も鳥獣保護区となっています。
また、新潟県は多くの水鳥の越冬地となっています。瓢湖のハクチョウは天然記念物として、佐潟と瓢湖はラムサール条約湿地に登録されています。
このように多くの保護区がある一方、身近にみられていたスズメやツバメ、モズ、ヒバリといった鳥の減少が観察されています。市街地から里山にかけての自然の環境を見つめてみませんか。
渡りコース
春と秋に日本列島を通過する渡り鳥にとって、日本海と佐渡や粟島は大切の飛行ルートになっています。長い海岸線をつなぐ海岸林は貴重な鳥の休憩地となっていますが、クロマツが枯れて環境悪化が心配されます。日本海の洋上風力発電も飛行ルートへの影響は懸念されます。
洋上風力発電計画
新潟県は日本海と接する約300kmにわたる長い海岸線をもっています。日本海は対馬海流(暖流)とリマン海流(寒流)が交わり豊かな漁場を形成していて、新潟県沖は対馬海流(暖流)が流れ、渡り鳥の重要なコースとなっています。
新潟県では現在5カ所の風力発電の計画が進められています。このうち4つは洋上風力発電の計画です。日本野鳥の会新潟県では、適切な環境影響評価が行われ、野鳥への影響が少なくなるように県内の野鳥保護団体と協力して対応してきました。会員の皆様に取り組みをご理解いただけるように保護活動の概要と経過をお知らせします。
新潟県の稀少鳥類
新潟県には他の県ではあまり見ることができない鳥類が生息しています。トキ(野生個体は新潟県のみ)、ライチョウ(新潟・石川・山梨・静岡・長野・富山・岐阜)などです。
トキやライチョウ以外にも、個体数が減少していて生息・生育環境が悪化している種があります。これらをリストアップして、その度合いに応じたランクをつけたリストを「レッドリスト」といいます。
レッドリスト
環境省のカテゴリー分けでは7段階ですが、県では5段階に分けられています。新潟県が作成した「第2次レッドリスト」の一部を紹介します。(詳細は新潟県ホームページ参照)
▢ 野生絶滅(EW)
該当なし(※1)
▢ 絶滅危惧Ⅰ類(EN)
8種(トキ・ライチョウ・オジロワシ・イヌワシ・クマタカなど)
▢ 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
10種(ハクガン・シジュウカラガン・ミゾゴイ・ブッポウソウ・チゴモズなど)
▢ 準絶滅危惧Ⅰ類(NT)
58種(オオヒシクイ・マガン・ヨタカ・シロチドリ・コアジサシ・ミサゴ・オオタカ・サシバ・アオバズク・ヤマセミ・ハヤブサ・ノジコなど)
▢ 地域個体群(LP)
1種(サドカケス)
(※1)令和元年6月(2019) トキのカテゴリーを野生絶滅(EW)から絶滅危惧Ⅰ類(EN)に変更した。
・レッドデータブックにいがた(2001)の選定種から外れた種:1種(サンコウチョウ)
トキの保護
Nipponia nippon という学名を名付けられ、新潟県の県鳥であるトキは、1981年に人工繁殖のため捕獲され、1999年から人工飼育が続けられました。2008年の放鳥から2020年現在、佐渡島には450羽を超える野生のトキが生息しています。トキを復活させる活動は、40年の歳月と多くの人々の協力によって実を結びました。トキの保護は、鳥類の保護について私たちに多くの教訓を残しています。